お腹の赤ちゃんもお母さんも元気で順調ならば、妊娠しても自分らしく働きたいと考えたり、出産するまではできるだけ働いて、少しでもお金を貯めたいと思う妊婦さんは多くいます。
妊娠は病気ではありませんし、人によっては悪阻や体調の変化も特にないために、以前と同じように働けるという人もいますが、安全、安心な妊娠期間を維持するためにも、自分が妊娠していることに自覚をもって節度ある働き方をしなければいけません。
そこで今回は、
・妊婦さんは正社員としてバリバリ長時間働くことができる?
・妊婦さんは仕事の量をコントロールできるパートの方がよい?
といった方に、正社員とパート、それぞれ妊婦さんにとってどのようなメリットやデメリットがあるのか詳しくご紹介します。
妊婦さんが正社員として働く場合
妊婦さんで正社員として働く場合は、妊娠前から正社員として働いていて、妊娠後もそのまま継続して同じ会社で正社員として働くという人がほとんどです。
妊娠が判明してから正社員として採用されるということは、何か特別な資格や能力がない場合、残念ながら現在の日本では少数派になると思われますが、妊婦さんが正社員としてフルに働くということはできるのでしょうか?
そのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
妊婦さんが正社員として働くメリット
まずは、妊婦さんが正社員として働くメリットについてご紹介します。
安定した収入が得やすい
妊娠しても正社員として働くことでの一番のメリットは、やはり安定した収入が得られるということではないでしょうか。
今まで共働きで充分な収入があって生活していたという人が、妊娠をしたことで退社するという人がいますが、一番影響があることは金銭的な問題です。
女性でも男性社員と変わらないほどの収入があった場合、妊娠して会社を辞めてしまうと、今までの家庭としての収入が一気に半減するようなものですので、今までの貯蓄があったとしても経済的なゆとりはなくなります。
今まで正社員として非常に忙しい日々を送っていたので、妊娠を機会に会社を辞めたかったという人でも、正社員としての収入がなくなってしばらくすると、自分の稼いでいた収入がいかに大きなものであったかということを考える人が多くいます。
夫婦二人だけで生活している時代と違い、子供ができると子育てには非常に多額の費用がかかってきます。
これから子供が産まれる世帯としては、お金はあったに越したことはないというのが本音なのかもしれません。
育児休業中でも収入がある
女性が輝ける社会を目指すという風潮から、官庁、大企業をはじめ、中小企業にあっても女性が働き続けることができる職場を目指している企業は年々増えています。
正社員として妊娠しても働き続けると、育児休暇制度や産前産後休暇制度を利用することができます。
育児休暇というのは、育児休暇法という法律によって定められていますので、勤務先に育児休暇の規定がないという場合でも、条件さえ満たしていれば申請することにより取得することができます。(育児休暇は正社員だけでなく派遣社員や契約社員でも条件を満たしていれば取得することができます。)
育児休暇は、基本的には子供が一歳になる前日まで取得することができますが、最大で1年6ヶ月まで取得することもできます。
また、育児休暇中は育休前の50パーセント(最初の180日間は67パーセント)の給与が支給されます。
出産予定日の6週間前(双子の場合は14週間前)から出産の翌日から8週間は働くことができません(産後6週間を経過した場合本人の意志があり医師が認めた場合は仕事復帰できます)。
産前産後休暇の期間も出産前の67パーセントの給与が支給されます。妊娠しても正社員として働くと、出産の前後にも充分休暇が取ることができる上に出産前と同額ではありませんが、多額の給与を支給されるので、安心して休暇を取ることができます。
出産後も職場に復帰できる
産前産後休暇や育児休暇の制度は、年々その内容が充実してきています。基本的には出産した子供が1歳を迎えるまで、給与を確保されながら育児休暇を取得することができますし、その子供の保育施設が見つからない場合は6ヶ月の延長も認められています。
また、育児休暇後は元の職場に復帰することができます。
妊娠を機に正社員を辞めて専業主婦になったり、パートタイマーとして働く人もいますが、妊娠しても正社員として働いていた人は(派遣社員や契約社員の人でも一定の条件を満たしていれば職場復帰できる職場もあります)出産後に同じ会社や仕事に復帰できるという制度があるというのは、非常にありがたく恵まれているといえます。
出産前は子供がいるのに働くということをなかなか想像できないかもしれませんが、妊婦さんになってもずっと頑張って正社員として働き続けていたからこそ、職場復帰のチャンスが与えられているのであって、実際には出産後に小さな子供を抱えて、正社員としてのポストを最初から探すというのは非常に難しいものです。
妊婦さんが正社員として働くデメリット
妊婦さんが正社員として働くメリットはたくさんありますが、では、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
体力的に無理がある
妊娠は病気ではありませんが、妊娠前とまったく体調が変わらない、体調の悪い時期がないという人の方が非常に珍しいと考えられます。
特に正社員として、他の社員と今までと同じような仕事をバリバリこなせるかというと、正直疑問があります。
本人には頑張ろうという気持ちがあっても実際に体調が悪かったり、大きなお腹になった体で働くのは大変なことでしょう。
職場に妊婦さんに対して理解があったり、妊婦さん本人の希望があれば、妊娠した人にあまり負担にならないような部署に移動させたり、仕事内容、勤務時間の短縮などに配慮してくれるところもありますが、実際にはなかなか配慮のない職場もあります。
妊娠初期は悪阻などに苦しむ人が多いですし、電車やバスなどを使って通勤している人は、お腹が目立たない時期には、なかなか周りに妊娠していることが伝わらないので、優先座席などがあっても利用できない場合も多く、危険で辛い思いをすることがあります。
妊娠後期になってくるとお腹が大きくなるので、デスクワークであっても長時間座っていると腰痛になったり、体が浮腫んできたりします。
妊婦さんが正社員で働くということは、体力的にもある程度の負担がかかるというリスクを覚悟しておく必要があります。
精神的にもハード
妊娠すると、今までと大きくホルモンバランスが変わったり、不安定になるので精神的にも不安定になったりすることがあります。
正社員は仕事に対する大きな責任もありますので、妊婦さんでなくてもストレスが溜まりやすいといえます。
妊娠する前は気にならなかったことが非常に苦痛に感じたり、イライラしたり、不安になったりすることもあるでしょうし、妊娠しても周りに迷惑をかけるわけにはいかないという責任感の強い人などは、今まで以上に気を使うことも増えて、ストレスを知らず知らず溜め込んでしまうこともあるでしょう。
精神的にダメージを受けると体調にも影響しますので、体調が非常に大切な妊娠期間に正社員として働くということは、ある程度の自覚と覚悟が必要といえます。
妊婦さんがパートとして働く場合
では次に、妊婦さんがパートとして働く場合はどうなのか見ていきましょう。
妊婦さんがパートとして働くメリット
妊婦さんがパートとして働くメリットには、時間的な自由度から、体力や精神的にも正社員より余裕があることが主なものになります。
自由な働き方ができる
妊娠経過が順調であると、ほぼ以前と同じように元気に活動できます。特に子供がまだいない妊婦さんは、比較的自由な時間がたくさんあります。
正社員のようにバリバリ長時間働くと体力的、精神的にも負担がかかりますが、パートとして比較的責任の少ない仕事や、体力的に負担のかからない軽作業の仕事をして収入を得るというのは非常に有意義なことです。
今までは正社員として働いてきた人などで、妊婦さんになって会社を退職したという人は、ある程度ゆったりした時間を味わいながら過ごすことができます。
妊娠すると突然体調が悪くなったり、妊婦検診で病院に行くことも増えるので、正社員として働いていると気軽に仕事を休んで病院に行くということがなかなかできないのですが、パートとしての勤務ならば、職場に迷惑をかけない程度に自由にシフトを組むこともできますし、休暇も正社員ほど精神的負い目を感じることなく取ることができます。
妊婦さんがパートで働くということは、時間や体力にゆとりがあるときは比較的しっかり働き、ちょっと休憩したい時は気軽に休みを取ることができるという面で、非常にメリットのある働き方といえます。
収入を得ることができる
妊娠する以前は働いていたという人が、妊娠をしたことで退職すると一番不安に感じるのは収入がなくなるという面ではないでしょうか。
しかし、妊娠しても正社員として働くということは安定した収入がある反面、肉体的にも精神的にも負担が大きいことが問題点ですが、パートで働くと正社員ほどの安定した確実な収入は得ることができませんが、自分が働いた分だけは確実に収入を得ることができるので家計的にも助かります。
収入がまったくないことに比べると貯蓄できたり、娯楽費に少しでもゆとりがあるということは気持ちが楽になります。
運動不足を解消できる
妊娠週数が経つにつれ、お腹は大きくなりますし、体重も増えてきますので徐々に動くことが億劫になってきます。
そのため、仕事や趣味のない人などはずっと家にこもってしまい、運動不足が問題になってきます。
妊婦さんは激しい運動は厳禁ですが、体重の増加を抑えるためにも適度な運動が必要になってきます。
パートの内容にも寄りますが、数時間の勤務であったり、週に2~3回の出勤というのは妊婦さんにはハードになりにくい運動といえます。
特にウォーキングなどをしなくても、パートとして無理のない程度に働くことで運動不足が解消できるというのはメリットになります。
社会とのつながりができる
妊娠しているからといって、家で一人ずっといると、社会とのつながりがなくなって孤立してしまいがちです。
一人が好きという人もいますが、社会とのつながりがないということで何となく孤独感を持ったり、気分が沈んでしまう人という人も少なくありません。
パートとして週に数回でも仕事をすることで、社会や人とのつながりができますので孤独感がなくなり、精神的にも安定します。
妊婦さんがパートとして働くデメリット
次に、妊婦さんがパートとして働くデメリットにはなにがあるのかご紹介します。
充分な収入を得ることができない
正社員として働いていた人と比較すると、パートで働くのは、充分な収入を得るのが難しくなります。
正社員として働いてきた人は、妊婦さんになってパートになると今までのように充分な収入がなくなるので、生活面でゆとりがなくなったり、少額の貯蓄しかできないという面で不安があるかもしれません。
育児休暇制度などを利用できない
国内では法律として、育児休暇制度というものが非常に充実してきています。
昔は育児休暇制度というものがあっても、実際にはなかなか制度を利用している人が珍しいという職場も多かったのですが、最近では女性の社会進出を国として推進しているということもあって、実際に育児休暇制度や産前産後休暇の制度を利用する人が増えました。
しかし、これらの制度は1年以上その職場に勤務していることが条件であったり、勤務日数の規定があったりして、パートで働く人にとっては該当しないことも多いので、パートで働く人は自由な働き方が選択できる反面、出産前になると仕事場を失ってしまう人がほとんどです。
育児休暇制度などは、子供が満1歳を迎える頃に状況に応じて前の職場に復帰したり、時短勤務をしたり、育児休暇制度を延長したりしながら元の職場に復帰することが可能ですが、パートで働く妊婦さんだと、出産後はまた新たな職場を自分で最初から探すことになります。
小さな子供を抱えての職場探しというのは想像以上に困難で難しいですし、復帰できる職場を持たない人は、保育所に入るにも非常に条件が厳しくなるので就職活動もなかなかできません。
最悪の場合は、かなり子供が大きくなるまで、社会復帰したくてもできなくなるというデメリットがあります。
まとめ
妊婦さんになって正社員で働くか、パートで働くか、または仕事をせずに妊娠期間を過ごすかということは、それぞれ個人の価値観や家庭の事情が関係してきます。
妊婦さんが正社員として働くことは収入もあって、復帰する職場を確保することもできる反面、妊娠期間中は非常に体力的にも精神的にも負担がかかります。
妊娠してパートで働く人は、自分に合った働き方ができる反面、安定した収入を得ることが難しくなりますし、出産後の職場復帰の目処も立たないという面もあります。
自分らしいマタニティーライフを過ごすために、何を優先するのかということを考えることが重要です。
おなかの赤ちゃんとお母さんが無理することなく、収入面や待遇面と折り合いをつけることが大切といえます。
自分にとって、そして赤ちゃんにとって、もっとも良い働き方を見つけてみてくださいね。